法律扶助の教示義務

司法書士や弁護士は、債務整理や民事事件等の費用面について依頼者へ説明する際には、法律扶助制度についての教示、説明に関する努力義務があります。

 

一般の方は法テラスの民事法律扶助制度のことはほとんどの方が知りませんので、教えてもらわなければ利用する機会も持てません。

それはあまりにもひどすぎますね。

私のこれまでの経験でも、法テラスについて説明すると、ほとんどの方がその利用を希望されます。

依頼する側にしてみれば、利用した方がメリットが大きい場合が多いからです。

ですから、司法書士や弁護士が法テラスの制度についてきちんと教えてあげましょう、そして依頼者の法テラスを利用するか否かの選択権を保障していきましょうということなのです。

 

≪司法書士に関する規定≫ 

司法書士倫理 第66条(法律扶助制度等の教示)

司法書士は、事案に応じ、法律扶助及び訴訟救助制度を教示する等、依頼者の裁判を受ける権利が実現されるように努めなければならない。

債務整理事件の処理に関する指針 第10第3項(報酬及び委任契約)

依頼者が民事法律扶助制度における資力要件に該当する場合には、民事法律扶助制度を教示して、依頼者がこれを利用するか否かについて選択の機会を与えたうえで、その意向を十分に考慮するものとする。

 

≪弁護士に関する規定≫

弁護士職務基本規定 第33条(法律扶助制度等の説明)

弁護士は、依頼者に対し、事案に応じ、法律扶助制度、訴訟救助制度その他の資力の乏しい者の権利保護のための制度を説明し、裁判を受ける権利が保障されるように努める。 

債務整理事件処理の規律を定める規定 第6条(民事法律扶助制度の説明)

弁護士は、債務整理事件を受任するに際しては、事案に応じ、当該債務者の経済生活の再生の観点から必要かつ相当と認められる場合には、法律扶助制度その他の資力の乏しい者の権利保護のための制度を説明し、当該債務者が当該制度の利用を希望するときは、その利用が可能となるように努める。

 

これらの規程は、弁護士や司法書士の各業界が、自分たち自身で自主的に決め、存在している規定です。

上記各規程はいずれも「努める」となっており、一般に努力義務と言われています。

「努力義務」とは文字通り努力をしましょうというレベルのもので、これに違反したからといって直ちに処罰や処分の対象になるというものではありません。


しかしながら、司法書士も弁護士も業務遂行上の規定として存在しているわけですから、この規程に基づき努めようとしているかどうか」という点は、司法書士や弁護士を選ぶ際の一つの判断材料にはなるでしょう。

これは単なる努力規程だから守らなくてもよいのだ」と強弁する弁・司もいます。

しかし規程として存在している以上、「守らなくてよい」ということではないことは自明の理です。


努力義務を侮ってはいけません。

なぜならそこには、その人自身のものの見方が如実に表れてしまうからです。

つまり努力というのは、何事も、その人自身が誠実に生きているかどうかの裏返しだということができます。

そこで、上記各規程における「努める」の部分について、目の前の弁護士や司法書士に対して、

先生は努めようとしていますか?

と真正面から問いかけてみると、その弁護士や司法書士の真の姿が見えてきます。


・真剣に考え努力をしていこうとする人

・絶句し返答に窮する人

・話の論点をずらして誤魔化そうとする人

・「私はそんな努力はしません」と居直る人

・「面倒くさい人ですね、帰ってもらえますか。」と逆切れする人、etc

いろいろです。


つまり、努力義務ほど厳しい義務はないということです。

なぜならこれは、義務不履行で処罰されるか否かなどという次元の低い問題ではなくその人自身が普段どのような生き方をしているのかという部分が問われているからです。

「自分は何をしたのか」「自分はどう生きたのか」ということを重要だと考える人は、罰則を受けるか否か、金の有無や金額の多寡などといった事象よりも、現実の「己の行動たるや如何」という部分に問題意識が向くはずです

自分の行動の中にしか、自分を自分たらしめるものはないからです。

即ち「自分の行動」を大切にしている人は、罰則や金といったレベルの問題はどうでもいいことなのです。

怖いですね、努力義務。

努力義務を侮ってはいけないというのはこのような意味によります。


そこでその人がどのような対応(行動)をするのか、じっくり目を凝らして観察してみましょう。

これらの点をよく見極めた上で、誰に依頼をしたら良いのかを決めるようにするとよいでしょう。