法テラスの報酬基準 〜項目別 着手金・報酬金等の一覧表〜

それでは法テラスの民事法律扶助を利用した場合,具体的にその報酬基準はどうなっているのか。

法テラスを利用するための条件(収入額や資産の上限等)は様々なHP等でも出ているのですが,

肝心要の「じゃ,いったいいくらになるのか?」ということはあまり出ていません。

報酬基準表はきちんと存在し公表もされているのですが,どういうわけか一般の方がこの表を見つけ出すことは至難の業となっています(見つける方法を下に書いておきましたので,興味のある方は下の手順に従いトライしてみて下さい。)。

 

そこで,民事法律扶助利用における各事案ごとの報酬基準一覧表を次に示します。

この報酬基準一覧は,法テラス(日本司法支援センター)が法務大臣の認可を受けて運用している報酬規程であり,民事法律扶助を利用した場合の料金(着手金・成功報酬・実費)はすべてこの基準に基づいた金額になります。

またこの報酬基準については一般の方がもっとも関心の高く,知りたい情報であるものと思います。

そこで当事務所としては,公表されている法テラスの報酬基準表をそのままPDFで掲載します。

PDFをクリックの上,拡大してご覧ください(文字が非常に小さいため)。

 

  代理援助立替基準   書類作成援助立替基準 

  

(注1)代理援助立替基準表の(6)その他 N任意整理事件の項目には,

「1社〜5社 着手金108,000円,実費25,000円」と概括的に記載されていますが,これは正確な金額ではありません。実際には業者数に応じた細かい基準が存在します。

任意整理の正確な基準は こちら です

 

(注2)自己破産・個人再生の申立てをする場合,通常,弁護士に依頼する場合は代理援助,司法書士に依頼する場合は書類作成援助の各基準に基づく金額となります。任意整理は,司法書士・弁護士いずれも代理援助基準によります。

 

その他,例えば,

離婚の調停に関する手続きを弁護士さんに依頼した場合には,法テラスの報酬基準によるとその金額はいくらになるのか?

⇒ 代理援助立替基準表(6)その他 D 家事調停事件・家事・・・ の欄を見ればよいのです。 

離婚の裁判に関する手続の場合は,同じく代理援助立替基準表の(3)家事事件 @ 離婚・認知等請求 を見ます。

 

法テラスを利用した場合の司法書士や弁護士への着手金や報酬金,実費は,すべての事案についてこの報酬基準表にしたがった所定の額が定められており,この場合,司法書士や弁護士は報酬額につきフリー(自由化)というわけではなく,この所定の金額で仕事をしなければならないことになっています。その金額以上のお金を依頼者に請求することはルール違反となります。

司法書士や弁護士が法テラスを利用した場合,法テラスで決定を受けた所定の金額以外に依頼者から金銭を受け取ることは固く禁止されており,これに違反した場合は処分の対象となります。

これは,民事法律扶助制度の趣旨に反する不適切な行為だからです。

   

この報酬基準の一覧表は,一言で言ってかなり見ずらい表です。

また,この表を一般の方が見ても,見方や意味がよくわからないと思います。

そこで,債務整理の案件(任意整理,自己破産,個人再生)については,上記の報酬基準表をもとに見やすい表を当事務所にて作成いたしましたので,こちら をご覧ください。


なお、法テラスを利用した際の項目別の費用の目安は、法テラス埼玉(←クリックデキマス)のホームページ上でも公開されていますので、こちらでも確認することができます。

 

 法テラスを利用できる事務所を探す方法 は,「費用の扶助制度」欄をご覧ください。

   

  

上記報酬基準表は,「業務方法書 別表3」という形で法テラスホームページでも公表されています。

業務方法書 別表3 の見方は次のとおりです。

法テラスホームページ (← クリックデキマス)

 ⇒ 法テラスについて

 ⇒ 公表事項

 ⇒ 総合法律支援法に基づく公表事項 

 ⇒ 業務方法書(PDF,全103ページ)

   → 1〜82ページをひたすらスルー

     (途中で嫌になっても諦めずにどんどんスルーしてください。)

    → 82ページの後に,別表 が出てきます。

 ⇒ 別表1 をスルー

 ⇒ 別表2 をスルー

 ⇒ 別表2の2 をスルー

 ⇒ 別表3(88ページ目) (やっと見られました。大変お疲れさまでした。) 

 

この報酬基準表が法テラスホームページでも公表されているのは,法テラス(日本司法支援センター)が行う民事法律扶助制度というものが,そのほとんどが国民の税金によって運営されている公的な制度だからです。

このような観点から,公表は,総合法律支援法(第34条5項)という法律によって義務づけられているのです。

 

 

 法テラスの立替制度を利用できる人の条件とは〜 収入や資産の基準について〜

法テラスの「民事法律扶助制度」は,わかりやすくいうと,資力の乏しい人,つまりあまりお金を持っていない人でも,きちんと法的救済が受けられる,そんな社会を実現していくために創設されている制度と言えるでしょう。

では,「資力の乏しい国民等」とはどのような人のことをいうのでしょうか。

これについても,業務方法書 別表1 できちんと定められておりまして,要は,下に書いてある

≪収入に関する基準≫ と ≪資産に関する基準≫ のいずれをも満たす者のことをいう

とされています。

  

すなわち,申込者について,収入資産において一定の基準が定められており,その基準を満たす方についてのみ利用することができます。

収入及び資産に関する基準は次のとおりです。

  

≪収入に関する基準≫

申込者の収入(手取り月額(賞与を含む)をいう。以下同じ。)にその配偶者の収入を加算した額が,その家族の人数に応じ,下記の基準額以下であることです。
     

単身者 182,000円( 200,200円 )
2人家族 251,000円( 276,100円 )
3人家族 272,000円( 299,200円 ) 
4人家族 299,000円( 328,900円 )

以下,

家族1名増加毎

 基準額に30,000円
( 33,000円 )を加算

※1(  )内は申込者が生活保護上の一級地に居住している場合の基準です。一級地は次の通りです。次にある市区町村にお住まいの方は,かっこ内の金額が収入の上限額となります。

 

<生活保護の基準に定める一級地>

都道府県市町村名
東京都 23区 八王子市 立川市 武蔵野市
三鷹市 府中市 昭島市 調布市
町田市 小金井市 小平市 日野市
東村山市 国分寺市 国立市 福生市
狛江市 東大和市 清瀬市 東久留米市
多摩市 稲城市 西東京市 青梅市
武蔵村山市      
神奈川県 横浜市 川崎市 鎌倉市 藤沢市
逗子市 大和市 三浦郡 葉山町
横須賀市 平塚市 小田原市 茅ヶ崎市
相模原市 三浦市 秦野市 厚木市
座間市      
埼玉県 川口市 さいたま市 所沢市 蕨市
戸田市 朝霞市 和光市 新座市
千葉県 千葉市 市川市 船橋市 松戸市
習志野市 浦安市    
大阪府 大阪市 堺市 豊中市 池田市
吹田市 高槻市 守口市 枚方市
茨木市 八尾市 寝屋川市 松原市
大東市 箕面市 門真市 摂津市
東大阪市 岸和田市 泉大津市 貝塚市
和泉市 高石市 藤井寺市 四條畷市
交野市 泉北郡 忠岡町  
兵庫県 神戸市 尼崎市 西宮市 芦屋市
伊丹市 宝塚市 川西市 姫路市
明石市      
京都府 京都市 宇治市 向日市 長岡京市
滋賀県 大津市      
愛知県 名古屋市      
広島県 広島市 呉市 福山市
安芸郡 府中町    
岡山県 岡山市 倉敷市    
福岡県 北九州市 福岡市    
宮城県 仙台市      
北海道 札幌市 江別市    

  

※2 医療費,教育費などの出費がある場合は,相当額について収入額からの控除が認められます。

※3 申込者又は配偶者が家賃又は住宅ローンを負担している場合は,上記の収入基準額に,現実に支払っている家賃や住宅ローンの額を加えたものが基準額となります。ただし,加えることができる限度額(上限額)は次のとおりです。    

 単身者

 41,000円( 53,000円 )

 2人家族  53,000円( 68,000円 )
 3人家族  66,000円( 85,000円 ) 
 4人家族  71,000円( 92,000円 ) 

(注) カッコ内は東京都特別区(=東京23区)に居住している方の基準です(民事法律扶助業務運営細則第9条 家賃等の地域加算額)。東京23区にお住まいの方はカッコの金額で見てください。 

(注)( )は東京23区だけが適用です。大阪や福岡,横浜等,他の区は違います。

 

≪資産に関する基準≫

不動産(自宅や係争物件を除く),有価証券などの資産の時価と,貯金・預貯金との合計が,次の基準を満たすことが必要です。  

 単身者   180万円以下
 2人家族   250万円以下
 3人家族   270万円以下 
 4人家族以上   300万円以下 

※1 3ヶ月以内に医療費・教育費などの出費がある場合は相当額が控除されます。

※2 法律相談援助(無料相談)のみを利用する場合は,貯金・預貯金の合計が上記の基準を満たしていることで足ります。

   

≪その他の要件≫

 勝訴の見込みがないとはいえないこと

 ・民事法律扶助の趣旨に適すること

があります。

 

( 注意 ) 

巷では,法テラスの民事法律扶助を利用するには,収入が一律182,000円以下でなければ利用できなという記述がありますが,これは誤った情報です。182,000円以下は「一級地以外」に居住する「単身者」の方の場合の収入額の上限であり,2人家族以上の場合は,家族数に応じて収入の上限は増額していきます

その他,住宅ローンや家賃,医療費,教育費,その他生活していく上でやむを得ない支出がある場合は,その分が考慮されます

 

( 収入基準の算定のしかた ) (H.30.12.1改定、「賞与」の計算方法を追記しました。)

例えば,東京23区(一級地)に居住する,申込者を夫とする4人家族の方のケースで見てみましょう。

・家族構成:夫(会社員、手取月収32万円、賞与年間66万円),妻(パート、手取月収7万円)

      子(私立中学2年),子(小学6年)

・賃貸マンション居住 家賃月額10万円,教育費 月3万円(子供の学費),医療費 月5000円

 

まず,東京23区は,上の表にある生活保護の基準に定める一級地ですから,東京23区に住むの4人家族の方の収入額の上限は,上の表のカッコ書きのように328,900円となります。

次に,申込者である夫とその妻の「手取月収」をみます。

税金や社会保険料を差し引きした手取の収入月額です。

賞与がある場合は月割にして月給に加算します。

源泉徴収票など年収が判明している場合は、手取り年収(給与や賞与など)の12分の1の額となります。

夫の月額の収入額は、毎月の手取り額32万と、賞与分55,000円(66万÷12)の合計375,000円です。

上記夫婦の手取り月収は合計445,000円ですが,家賃で92,000(東京23区に住む4人家族の方の家賃は,上の表のカッコ書きのように,92,000円を限度として収入基準額への加算が認められます。),教育費で3万円,医療費で5,000円がかっている場合は,

 (375,000円+7万円)−3万円 −5,000円 ≦ 328,900円+92,000円(家賃支出分)

となりますので,家賃加算後の収入基準額420,900円(328,900円+92,000円)を10,900円程下回ることになりますので収入基準をクリアすることになります。

このように,家族人数や居住地,住宅ローン又は家賃の支払いや,医療費,教育費等々の支出によっては,収入が40万円以上あっても利用できる場合もあります。

 

収入基準 の 計算式 (それぞれの月額の金額)

(あなたと配偶者の収入合計 ※1(医療費)(教育費)(生活上やむを得ない支出 ※2

  家族数に応じた収入基準額)+(家賃・住宅ローンの支出額(上限あり))

 

 上の計算式が成立する方は法テラスの収入基準クリアーです

 

※1 家族が紛争の相手方である場合は,相手方である家族の収入は申込者の収入には加算しません

   例えば,妻(=申込者,月額収入15万円)が夫に対して離婚の請求をする際,仮に夫の収入が50万円であったとしても,夫は紛争の相手方になりますから,妻だけの収入15万円を収入として計算した結果,法テラスの収入基準はクリアーとなります。

 

※2「生活上やむを得ない支出」とは,法テラスの規定では「職業上やむを得ない出費」という言い方になっていて,税法上の経費には当たらないものの,その出費をしなければ,職業を維持することができなくなるような出費をいう,ということになっていますが,「職業上」とか「税法上の経費」とか「職業を維持できない」って,何が何だかさっぱり意味がわかりませんね。実はこれは,申込者の「職業」とはあまり関係がないのです。

これは,わかりやすくいうと申込者において「日常生活を維持していく上でやむを得ない支出」と考えていけばよいのです。

 具体例として,

・扶養家族でない別居している子どもの養育費を支払っている場合のその養育費相当額

・事件の相手方である配偶者に対する婚姻費用の支払い

・膝靭帯損傷のため日常生活において車を利用する必要があり,車購入時のローンの支払いとして毎月3万円を返済している場合で,足が悪く自家用車を使用しないと日常生活に支障があることが医師の診断書により証明されている場合の,その車のローンの月額返済分の3万円。

などです。その他,様々なケースが考えられますので,ケースバイケースということになります。

注)法テラスのいう「職業上」という文言で考え始めるとわけがわからなくなりますのでご注意ください。 

 

なお,利用条件をクリアした方は,同一案件につき3回まで,弁護士や司法書士の無料相談を受けることができますので相談料はかかりません  

 

法テラスの民事法律扶助制度の利用については、正しい知識を得て、上手に活用していきましょう。