法テラスの費用立替制度を利用する際の「デメリットとされる誤った情報」がネット等で散見されます。

そこで、法テラス審査員の経験者であり、日ごろ法テラス制度の実務に携わっている司法書士が正しい情報をお伝えいたします。

法テラスの制度利用については、正しい知識を得て上手に活用していきましょう。


 Q 1.  法テラスの費用立替制度を利用する場合は,

(1)弁護士や司法書士を自分で選ぶことはできないのですか?

(2)民間の事務所でも法テラスを利用することはできるのですか? 

(答)「持ち込み方式」という方法による場合は、民間の事務所でもこの制度の利用ができ、かつ、依頼したいと思う弁護士や司法書士を自分で選ぶことができます。

法テラスの制度を利用する場合、特定の司法書士や弁護士を選べないというような記述がありますが、これも正確ではありません。

全国の法テラス直轄の事務所には、常勤の弁護士さんがいるところが多く、このような場合はその弁護士さんが自動的に受任しますので、依頼者に弁護士を選択する余地がない側面はあります。

 

一方で、法テラス利用の際には「持ち込み方式」という方法があり、こちらの方が主流となっています。 

これは、法テラスに登録(=法テラスと提携契約、詳しくはQ7へ)をしている司法書士や弁護士の事務所(=民間の法律事務所等)で法テラスの制度を利用できる方法であり、当事務所もこの方法です。

この「持ち込み方式」を利用することによって、法テラス直轄の事務所に行かなくても、民間の事務所で法テラスの利用ができます。

イメージとしては、民間の事務所が法テラスの取次代理店になるような感じです。

法テラスと提携している司法書士や弁護士であれば、自分の事務所に相談に来た方について、法テラス希望案件として、その事務所を通じて法テラスへ利用の申込を持ち込むことによって、法テラスの制度が使えるのです。

つまり、あなたのお近くの事務所が法テラスと提携している場合は、その事務所で法テラスの制度が利用できる形態です。

依頼する側において、「是非この先生にお願いしたい!」と思える司法書士や弁護士さんがいる場合には、その先生が法テラスと提携しており、かつ法テラスの利用を嫌がらない場合には、「その先生」に依頼をすることができます。

 

ですから、あなたに意中の司法書士や弁護士さんがいる場合には、法テラスに電話をするのではなくて、直接その先生の事務所に相談に行って、法テラスの法律扶助制度を利用したい旨を伝えてみて下さい。そこでその先生がOKといってくれれば、あなたの案件はその先生が担当してくれることになります。

このように、持ち込み方式の場合には、実質あなたの側においてお気に入りの司法書士や弁護士を選択することが可能であり、その先生で法テラスの制度を利用できるのです。

ホームページなんかに、「法テラス対応」とか「法テラス利用できます」とある事務所は、この持ち込み方式で法テラスの制度を利用できる民間の事務所という意味です。

よく法テラスのデメリットとして弁護士を選べないという記述を目にしますが、半分正解、半分誤りです。つまり、最初に法テラスに電話をする場合は正解、上記「持ち込み方式」の場合は誤りです。

もっとわかりやすく言うと、法テラスに電話をする場合は選べない、法テラスの制度が利用できる弁護士や司法書士を自分で探す(=直接その事務所へ自分で電話をする)場合は選べる、ということです。つまり、

弁護士等を選びたいなら、「この先生に!」と思える先生を自分で見つけて、直接自分でアポイントをとっていけばよいのです。「選ぶ」ということはそういうことです。

今や法テラスを利用する時でも、弁護士や司法書士は自分で選ぶ時代となっています。専門職にもいろんな人がいますから、相談時に弁護士や司法書士の人柄や自分との相性などをよく見極めてみるのもよいでしょう。 

(注)巷では弁護士を選べないということがさかんに言われていますが、すでにあなたの心の中に意中の先生がいるのであれば(法テラスに登録している先生である必要があります。)、上記の通り、

その先生に自分でアプローチをして、その先生を通じて、法律扶助制度の利用を法テラスへ持ち込んでもらえばいいだけですから、選べないというデメリットはまったくありません。 

 

Q 2.  法テラスの審査待ちの期間について

審査が通るまでは、司法書士や弁護士は仕事に着手してくれないのですか? 

ここは非常に誤解の多いところであり、不正確な情報によって混乱している方が多いようですから、詳しくご説明いたします。

巷では法テラス利用のデメリットとして、審査に時間がかかり、援助が決定されるまでは専門家が仕事に着手できず、その間の対応を自分でしなければならないなどの記述がありますが、これは誤った情報です。

援助決定が正式に下りるまで着手できないということはありません

審査が下りることが着手の条件となっているわけでもありません。

そのような決まりや規定もありません。

つまり、法テラスにおける着手時期に関する規定がないということは、裏を返せば、担当する弁護士や司法書士の一存によって、審査中でも着手をすることができる、ということを意味しています。

援助決定「前」の着手を「禁止」するという規定が存在してないからです。

よって真相は、審査中は着手が「できない」のではなくて、その弁護士や司法書士があえて着手を「しない」という選択をしたということなのです。

 

依頼をする側の立場で考えると、弁護士や司法書士がいつ着手してくれるのかというのは非常に重要な点であり、かつ切実な問題だと思います。

このようなことから、心ある専門家であれば,依頼者の状況を斟酌し、速やかな対処が必要な場合は、援助決定がなされる前に直ちに着手(介入)している司法書士や弁護士もたくさんおります。なぜなら、正式に援助決定が下りるまで着手は保留なんて悠長なことをしていたら、依頼者の状況がますます悪化してしまうからです。

とにかく業者等相手方からの請求や取立はすぐにストップさせ、依頼者の方を安心させるとともに、少なくとも、これ以上の状況悪化を回避させるという対処が最も優先順位が高いということは、多くの専門家の方々も理解しているはずです。

また、時効中断や督促異議等、法的に直ちに対処する必要性が高い場合などは、この要請は極めて重要です。そんな時にのんびり悠長なことをしていては法律家の存在意義はありません

このようなことから法テラスを利用した場合でも、審査中か否かにかかわらず、相手方等への対応を自分でしなければならないということはありませんしたがって、法テラスの審査は通常2W〜1か月程度かかりますが、だからどうということもありません。

 

私たち専門家側も、申込をする際には事前に申込者の利用条件をよく検討し、審査通過を前提として手続きを進めていきますので、実際のところ、着手を留保しておく実益もほとんどありません。

この点誤った情報として、「審査期間中は担当弁護士が対応してくれない」などの記述がありますが、そのような弁護士さんたちばかりではありませんよ。

上記優先順位を理解し、すぐに対応してくれる先生もたくさん存在しているはずです。

(注意)審査結果が出るまでは一律に着手しない専門家もいますので、依頼をする際にこの点よく確認して下さい。法テラスとの立替契約が成立しないうちは着手しない主義を貫く先生が存在していることも事実です。審査が通り、法テラスとの間の「契約が成立しないうちは手をつけない」と考える方々です。

一方で、依頼者の実情を考慮すると速やかな着手が必要と考えることもできます。

審査の決定前に着手することが禁止されているわけでもないことから、これは、引き受ける司法書士や弁護士の考え方によって左右され、審査中でも動いてくれる先生とそうでない先生がいます。

切羽詰まった状況に置かれた方の「状況悪化を回避させる」ことと、あくまで形式的な「契約の成立」を優先させること、どちらに重きを置くかはその先生の仕事に対する考え方によるということです。

つまりここは、その司法書士や弁護士によるということです。

ですからここは、あなたにとって「親身」で「信頼できそうだ」と思えた人に依頼されることをお勧めします。

 

「審査結果が出るまでは着手はできません」というのは、それが一般化しているものではなく、単に「その先生はそういう方針だった」ということに過ぎません。

「依頼者の実情」に重きをおく先生ならばすぐに着手してくれる可能性が高く、「法テラス契約の成立」という形式に拘る先生は動いてくれない傾向にある、と思われます。この点どうしてもご心配な方は

  法テラスの審査期間中、私はとても心配で不安です。

とあなたの率直な胸の内を相談した先生に打ち明けてみてください。

さてそこで、目の前の先生が、これはそういうものだとして済ましてしまうのか、それともあなたのこの切実な心配ごとを真剣に考え、法テラス利用でも何らかの方策を講じてくれるのかどうかで、その先生の仕事に対する考え方が見えてくるはずです。

その先生の目線があなたに向いているのか、別のところに向いているのかが見えてきます。

なお、審査通過が決定するまでは着手はしないものの、「業者等から連絡があった場合には私の名前を出してもらってもいいですよ。」とあなたの心配事を親身に受け止め、配慮してくれる先生もいます。

つまり問題は、受任通知をすぐに発してくれるか否かの問題ではなく、あなたの心配事を真剣に考えてくれるかどうか、それに対して何らかの対策を講じてくれる「親身さ」があるかどうかということです。あなたが安心して依頼ができる事務所なのか否かの問題です。

依頼をする際には、「親身」なのか「突き放される」のか、そこをよく見るのです。

ところで、援助の決定「前」に受任通知を発することの当事務所の法的見解は、

法テラスと受任通知 で述べてあるとおりです。

 

Q 3.  法テラスについては、どうして「誤った情報」や「否定的な情報」が流されるのですか?

次に法テラスに関する「誤情報」が発信される背景をお伝えします。

これには二つの背景があると思われます。

一つは、単純に法律扶助制度の表面的な部分しか知らないことによる無知があります。

これは、これら誤った情報の出所が、司法書士や弁護士など日常的に法テラスに接し関わって仕事をしている人「以外の人」たちからの情報であることが原因であると考えられます。

法テラス利用の際の実務や内情を知らないことから、ネット等で得られる情報を鵜呑みにしているケースもあるのでしょう。

 

そして二つ目は、誤情報を一つの「商戦」として利用しているという背景が考えられます。

これはどういうことかというと、法テラスの報酬基準額が非常に低い額に設定されていることから、弁護士業や司法書士業をビジネス目的で行っている事務所にとっては、国民の内で法テラスの存在が広く知られ、法テラスを利用する人がどんどん増えてしまうと都合が悪いと考えている側面があるということです

なぜか? 一言でいうと、法テラス基準でやっていたのでは「もうからない」からです。

そこで、法テラス利用の際のデメリットとされる否定的な情報を意図的に流し、法的手続きを検討中の人たちが、なるべく法テラスの利用を躊躇するように誘導している状況が考えられます。

 

つまり、ビジネス系の事務所が高額な報酬を得ていくためには、

人々が「法テラスの低額制度」に流れてしまってはビジネスがやりにくいのです。

そこで否定的な情報を強調して、なんとか法テラスの制度を使わない方向に持っていきたいという意図があるようです。

そしてその「否定的な情報」としてもっとも利用されているのが、

(1)弁護士を選べない

(2)審査に時間がかかって業者からの督促が止められない

の二つということになります。

しかし上述したように、(1)と(2)は真実ではありません。

なぜなら、(1)については「持ち込み方式」の場合は選べますし(前述Q1)、(2)については当の弁護士や司法書士自身が自ら進んで早期に受任通知を発してしまえば済む話だからです(前述Q2)。

 

つまり実情は、「法テラスの制度を利用して欲しくない」「国民が法テラスの制度を利用するのは困る」と考えている事務所が(1)と(2)を積極的に発信し、商戦として、人々が法テラスの低額制度に流れないようにしている場合が多いと考えられます

ネット時代ですから、氾濫する情報の中で、何が本当で何が嘘なのかしっかり目を凝らして見極めていく必要があります。

多額の広告費を使ってネットで上位にくるような集客に力を入れてる事務所、国が認めた救済制度」や「借金減額診断」などをクリックして案内を受けた事務所などは、概して費用が高額な傾向にあるようです。

東京弁護士会は、借金減額診断をうたって広告・集客する事務所に対して、改善の指導に乗り出しています(2022/11/7 読売新聞オンライン)。

また最近では、一見親切に法テラスの制度について説明してあるサイトであっても、利用条件をクリアしているにもかかわらず、結局は法テラスの制度を利用できない事務所だった、ということがよくあります。

親切情報も「本当の親切」なのか「呼び込み目的」なのかをよく見極める必要があります。

 

一方、法テラスの法律扶助制度は、

あまりお金を持ってないけれども、法的な救済を必要とする人の立場でみれば、非常に有益な制度です。

法律扶助制度は、国の制度として総合法律支援法という法律に基づき存在しています。

資力の少ない国民にとってメリットとなる側面がとても大きい正規の制度を、国民が利用していくことを誰も止めることはできません。

 

そこで、資力が少なく弁護士や司法書士の費用を工面できない方は、この制度の利用に理解を示してくれる弁護士や司法書士さんを探していけばよいのです。

「お金がないから…」と諦めてしまうのではなく、あなたにとって「法的な救済」が実現されていくよう、自ら動いていきましょう。

大丈夫です。

あなたの現状を理解してくれ、たとえ報酬は少なくなっても法テラスの利用を快く進めてくれる、そのような「志」を持ち合わせた弁護士や司法書士は世の中にたくさんいますよ。

 

 Q 4.  法テラスを使った場合、弁護士や司法書士は熱心に仕事をしてくれないのですか?弁・司にとっては、顧客側が法テラスの制度を利用するのは嫌なのですか?

法テラスの民事法律扶助を利用した場合、受任した司法書士や弁護士のモチベーションが上がらず、あまり熱心に仕事をしてくれないのではないかという指摘があります。

これはどういうことかというと、法テラスの報酬基準が安いため、「そんな安い報酬ではやってられないよ」と考える司法書士や弁護士側の内心があり、これによってモチベーションが上がらないとか、採算が合わないというような不満に繋がるという事情があります。

しかしながら、このように法テラスの利用だからといって自分の「仕事の質」に差をつけるような人、金額によって「それなりの仕事」を正当化するような専門家には最初から無理に頼む必要もないのです。

嫌々利用してくれるような先生に頼んでも決してあなたの為にはなりませんから、このような場合は早々に見切りをつけてを当たった方がよいでしょう。

法テラス利用を理由に「それなりの仕事」しかしようとしない法律専門家は、結局のところ、自分で自分の法律職能としての価値を下げていることに他ならず、そしてそのことに気が付いていない人ともいえますから、実は報酬額の問題ではなくて人間性の問題とも考えられます。

「法テラス利用の仕事は安くてやってられない」と思うのであれば、初めからやらなければよいのです。なぜなら、依頼をする側はきちんとやってくれる先生だと信じて頼むわけですから、そんな考えで仕事を引き受けること自体、依頼する側にとっても不幸なことといえるからです。

 

つまり司法書士や弁護士は、いったん引き受けた以上は手抜きの仕事などしてはいけないのです。至極あたり前のことです。

このあたり前のことをきちんと理解している弁護士や司法書士であれば、法テラスを利用したからといって、法的サービスが低下するということは決してありません。

全国には法律扶助制度の趣旨を理解し、法テラスの報酬基準額でも快く引き受けてくれ、きちんと仕事をしてくれる司法書士や弁護士さんがたくさんいますから、是非そういう先生に依頼をするようにしましょう。

なお初めの段階で「法テラスを利用すると事務所経営的に採算が合わないので、うちの事務所では法テラスを利用しての仕事はお受けできません。」ときちんと伝えてくれる事務所は、正直でわかりやすく、返って親切とも言えます。むしろ黙って仕事を引き受けて手抜きの仕事をされるより、この方が全然 Good といえるでしょう。

法テラス利用だと十分な法的サービスを提供できないと考え、法テラス利用での仕事は引き受けないという事務所は、ある意味きちんと筋が通っている事務所といえます。

そしてそれはその事務所の考え方ですから尊重されるべきものであり、非難や批判をするようなことをしてはいけません。あなたがそれで気に入らないなら、他の事務所を探していけばよいだけなのです。

 

その上でどの事務所に依頼をするのかはあなたがよく考えて決めて下さい。

法テラスを利用せずに高額な費用になってもその事務所に依頼したいと思えばそれもよし、どうしても法テラス所定の金額でやって欲しいと思えば法テラスの制度を利用できる事務所を探せばよいのです。

どうするのかはあなた自身が決めることです  

 

 Q 5.  法テラス利用の際の弁護士や司法書士は質や能力に問題があるのですか? 

法テラスを利用した場合、受け手側の能力が低く結果にバラつきがあるという指摘がありますが、一般論としてこのようなことは法テラスを利用しない場合でも同じことが言えるのです。

すべての弁護士や司法書士が経験豊富な実績を有するのではなく、駆け出しの弁護士や司法書士に依頼した場合に、結果として差がでてしまうのはあり得ないことではありません。

そしてこのことは法テラスの制度を利用した場合でも、そうでない場合でも、事情はまったく同じだということです。

仮に法テラスを利用しない場合でも、運悪く経験の浅い人やその専門分野には弱い人、さらに人間的に不真面目な人に依頼をしてしまった場合は同様の事情が考えられるわけですから、「法テラス利用の際の弁護士や司法書士」という括りで論じること自体あまり意味のないことです。

また上にも書いたとおり、法テラス案件の多くの割合を占める「持ち込み方式」の場合は、多くの経験豊富なベテラン・中堅の先生たちも普通に法テラスを利用して仕事をされていますのでこのような指摘はまったくあたらないことになります。

つまり、法テラスを使って仕事をしている優秀な先生たちもたくさん存在しているということです。

逆に、法テラスを利用しない場合でも、杜撰な仕事をする人はそれなりにいます。

こういった指摘は、全国で法テラスの民事法律扶助を利用して真面目にきちんと仕事をされている多くの弁護士さんたちに対してとても失礼なものです。 

 

 Q 6.  弁護士や司法書士の報酬の自由化と、法テラスの報酬基準との関係はどうなっているのですか?

弁護士も司法書士も、以前は各業界において報酬規程というものが存在していました。
これにより、各士業はその報酬規程に従った報酬額しか得ることはできませんでした。

ところが、司法書士については平成15年、弁護士については平成16年に、業界で定めていた報酬規程が廃止され、以降は、各司法書士や弁護士が自由に報酬金額を決めてよくなりました。

これを報酬の自由化といいます。現在は、同じ種類の仕事を依頼する場合においても、各司法書士や弁護士によって報酬金額が異なるのは、この報酬の自由化によるものです。

上記のとおり司法書士や弁護士においては報酬が自由化されていますが、一つだけ例外があります。それが法テラスの場合です。

 

弁護士や司法書士が法テラスと契約し、法テラスの法律扶助制度を利用した場合は、法テラスで決定を受けた所定の金額しか受領してはいけないことになっています。つまり、法テラスを利用した場合は報酬金額は自由ではなく、法テラスの報酬基準に拘束されるのです。 

一見矛盾しているように見えますが矛盾はしていません。

後述するように、司法書士や弁護士が法テラスと契約をすることはあくまで任意であり、強制されるものではないからです。即ち、司法書士や弁護士が法テラスと契約をするということは、その契約内容には法テラスの報酬基準も包含されているのであり、それを承知の上で任意に契約をしている以上、法テラス所定の報酬基準額による受任は、各司法書士や弁護士の自由意思によるものと解されるからです。このように、法テラス契約の「任意性」は非常に重要な意味を持っています。

わが国には、低所得者に対する様々な制度が準備されており、これらは低所得者に対するセーフティーネットとして機能しています。

同様に、法テラスの法律扶助制度は、所得の低い方々のための「司法におけるセーフティーネット」ともいえそうです。

 

法テラスについては、総合法律支援法によって、資力の乏しい方にも法的救済がはかれるような社会を構築するという趣旨で運営されているものですから、その報酬基準が一般と比較して安価になることは必然であるとも考えられます。

なぜなら、資力が乏しい方には、それに応じた救済措置を講じていく必要があるからです。

そして司法書士や弁護士が法テラスと契約をするということは、その救済措置に賛同したということと同義ともいえそうです。

なお「資力の乏しい国民等」の定義については,法テラスの業務方法書別表1においてきちんと定められてあり、司法書士や弁護士の主観や好き嫌いによるものではありません。

 

Q 7.  「法テラスと契約している弁護士や司法書士」とはどういう意味なのですか?

法テラスで行っている法律扶助制度は、すべての弁護士や司法書士が自動的に使えるものではなくて、司法書士や弁護士がこの制度を使うためには、まず各司法書士や弁護士が法テラスとの間で個別に「提携契約」を締結する必要があります。

わかりやすく言うと、この提携契約をすることによって、法テラス登録の弁護士や司法書士になれるということです(イメージ的には法テラスの「会員」になるような感じです。楽天のいろんなサービスを受けるには、まず楽天の会員登録をしないとダメなのと同じです。)。

これを「法テラス契約の弁護士・司法書士」や「法テラス登録の弁護士・司法書士」といいます。

 

ところで、司法書士や弁護士が法テラスと提携契約(登録)をすることは強制ではなくて任意です。つまり各司法書士や弁護士の自由な意思で、自ら望んで法テラスとの間で契約(登録)をしているのです。

例えば楽天の会員登録もそうですよね。希望する人だけが登録手続をするのです。登録を強制されるものでは決してありません。

そして法テラスとの間で契約をする際には、その契約内容には当然法テラスの報酬規定も含まれており、それを承知の上で契約をしているはずです(法律家である以上、契約をする際に契約内容を知らなかったということは恥ずかしいことです。)。

即ち、司法書士や弁護士が法テラスと契約をするということは、その動機が何であるかにかかわらず、法テラスの規定報酬額で仕事を引き受けるという道を自ら選択していることに他ならないのです。ですから、自から望んで法テラスとの基本契約をしておきながら、法テラスの規定報酬額に不満を持つこと自体、本末転倒ということになります。

楽天の会員規約に不満がある人は楽天に入会しなければいいだけです。

法テラスとの提携契約も同じで、法テラスの報酬基準や運用方法に不満を持つのであれば契約しなければよいだけなのですが、好んで基本契約をしておいて、それで法テラスについての不平不満を表すのはやはり変ですね。

司法書士や弁護士の報酬は自由化されているのであって、法テラスの報酬規定がすべての弁護士や司法書士を拘束しているものではありません。

法テラスとの提携契約(登録)は任意なのですから、不満を示しながらも嫌々法テラスと関わる必要はなく、法テラスとは別の「我が道」を進んでいく選択も自由です。決然と法テラスとの関係を断ち切ることも自由です。

 

法テラスの民事法律扶助制度は、あくまで「資力の乏しい国民等」への法的救済を実現させていくための制度ですから、この制度や運用方法に不満がある場合は、法テラスとは関わらずに、十分な資力を有する企業や、お金をたくさん持っている人だけを相手に業務をしていくことも自由です。

すなわち、法テラスとは違うリングで仕事をしていけばよいだけであり、現に法テラスとは一線を画した事務所経営をしている法律事務所も数多く存在しています。そしてそれはそれぞれの弁護士や司法書士の考え方ですから、良いの悪いのと他人がとやかくいうことではありません。 

資力の少ない国民の方への総合的な法的支援を目的とする法律扶助という国の制度が存在していることは大いに結構なことです。そして、

本来法テラスとの契約は、この制度の目的や趣旨を理解し、これに賛同、そして実践していける弁護士や司法書士だけが契約をすべきものなのです。

ところが現実には、この理解・実践ができていない一部の弁護士や司法書士まで契約してしまっている実情があり、それが法テラスについていろいろな問題が起きてしまっている要因の一つとも考えられます。

なお、報酬額の安価性とは別に、何らかのポリシーに基づいてあえて法テラスに登録をしない弁護士等も一部存在しています。 

(注)上記は民事事件の場合です。刑事事件の「国選弁護」については事情が異なります。公正な公判維持のために、信念をもって法テラス傘下で活動をされている弁護士さんたちがいます。このような弁護士さんたちの存在は決して忘れてはなりません。 

 

Q 8.  ネット等でいろいろ書かれてますが、やっぱり法テラスはダメなのですか?

世間一般では、法テラス利用の際のさまざまな否定的な体験談などが取り上げられているようです。そしてこれら一部の体験談の中には、それが真実であるケースも存在するとは思いますが、そこには大きな誤解があると思われます。

確かに法テラスを利用した際にヒドイ目にあったという事例もあるかも知れません。しかしながらそれは、「法テラスの制度」に問題があったのではなくて、そのときの司法書士や弁護士との相性に問題があったというべきなのです。

法テラスはあくまで「法律扶助制度」という「制度を提供する機関」です。

そしてその制度自体については、法的救済を求める資力の少ない方の側で見ればとてもよい制度なのですが、一方で、これを利用する一部の弁護士や司法書士の側でみると、上記のとおり報酬が安くなってしまうとか、手続きが面倒だとか、法テラスの監督下に置かれるなどの側面があって、できればこの制度を利用したくないという心理があるのです。

もちろん、法律扶助制度の趣旨に賛同し、法テラスの利用を全然嫌がらない、むしろ積極的な利用を推進している弁護士や司法書士さんたちもたくさん存在しています。

ですから、仮にヒドイ目にあったケースが存在していたとしても、それは法テラスという機関がダメなのではなくて、また、法テラスの制度がダメなのではなくて、そのときの弁護士や司法書士との相性が悪かったということなのです。

 

世の中には、法テラスを利用して、引き受けてくれた先生がとてもいい先生で、仕事もきちんとやってくれて、なにより費用がとても安く済んで本当に良かった!というケースもたくさん存在しているはずです。

この場合は、そのときの司法書士や弁護士さんが「当たり」だったのです。

結局のところここは、その仕事を引き受けた弁護士や司法書士によるということです。 

 

寿司屋に入って、大将が Good なサービスを提供してくれてとても美味しくお寿司が食べられて気持ちが良かった!という思いを抱くか、面倒な大将で緊張して寿司の味もわからずもうゴメンだと思うのか、つまり、寿司屋にいって満足できるかどうかはその大将によるということと同じです(どちらも寿司ネタは同じとします。)。

同じ寿司ネタでも、大将の違いでこうも違ってくるということです。

寿司ネタを法テラスの法律扶助制度、大将を弁護士や司法書士に置き換えてみればわかりやすいと思います。

寿司ネタ(法テラスの制度)に問題があるわけではありません。大将(弁護士・司法書士)の人柄や、仕事に取り組む姿勢に左右されるということなのです。

きちんとした大将なら、それなりにプロ意識が高いですから、お客さんに手抜きの寿司を提供するようなことは決してありません。

もしそんなヘタな仕事をしてたら、自分の寿司職人としてのプライドが許さないでしょうし、手抜きの仕事をして悪い評判が立てばあとはない、ということをちゃんと理解しているからです。

逆に、手抜きの仕事を肯定する人は、「職業人」としての誇りや哲学といったものを持ち合わせていない人、プロ意識が欠如している人、ともいえるでしょう。 

つまりどんな職種にしても、真剣に仕事に取り組んでいる人もいれば、そうでない人もいるこれは世の常です。

ですから大切なことは、「ハズレ」を引かないように、あなた自身、ダメな人を見抜く目をしっかり持つということです。

 

依頼をする際には後々後悔しないためにも、相手の言動や態度などをじっくり観察したうえで、そこが、依頼をしてよい事務所なのか、依頼をしちゃダメな事務所なのかを、しっかり目を凝らして見抜いてみてください。見抜く基準は、これまで述べてきたことで概ねおわかりいただけたと思います。

これが、今や法テラスを利用する時でも弁護士や司法書士は自分で選ぶ時代という意味です。

是非とも誠実な先生に依頼をされ、最後に「この先生に出会えて良かった!」と思えるような結果になって欲しいものです。

それこそが、弁護士冥利、司法書士冥利に尽きるというものです。

 

NEW!!  smart FLASH 2022/8/9 配信号についての考察は、法テラスに疑問の声 のページをご覧ください。

 

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