目 次


  【民事法律扶助 関係】

Q1 法テラスの民事法律扶助とはなんですか。

Q2 法テラスを利用するための条件を教えてください。

 

【弁護士と司法書士】

Q3 弁護士と司法書士とはどうちがうのですか。

Q4 本人訴訟・本人申立とはなんですか。

Q5 司法書士へ依頼した場合のメリット・デメリットはなんですか。

 

【相談関係】

Q6 相談はどこにいけばいいのですか。あてがありません。

Q7 敷居が高くてなかなかの事務所の扉を開けられません。

Q8 相談に行って怒られたりしませんか。 

Q9 相談料がありません。

 

【債務整理関係】

Q10 債務整理を専門家に依頼すると,業者からの請求は止まるのですか。

Q11 ヤミ金からお金を借りてしまい厳しい取り立てにあっています。   

 

【民事法律扶助  関係】

Q1:法テラスの民事法律扶助とはなんですか。 

 民事法律扶助制度は,日本司法支援センター(法テラス)がおこなっている制度です。

法テラス日本司法支援センターでは,さまざまなトラブルにつき法的な解決を希望する方に対して,弁護士や司法書士に支払う費用に困る方についての手助けとして民事法律扶助をおこなっています。

② 民事法律扶助とは,資力の乏しい方が法的な解決を希望するときにまず無料法律相談をおこない,必要な場合には裁判費用や弁護士・司法書士への報酬の立替え(法律相談援助,代理援助,書類作成援助)を行なう制度です。
 この民事法律扶助を利用することにより,お金のない方でも法的な解決を図る道筋ができたことになります。

③ 民事法律扶助制度は,資力の乏しい方に対して援助をしていくための制度なため,利用する場合には所定の資力要件等(→Q2)を満たす必要があります。

④ 民事法律扶助制度の概略は次のとおりです。    

STEP1

トラブル発生

STEP2

①司法書士・弁護士へ相談(民事法律扶助を利用したい旨を伝えて下さい。

②民事法律扶助の申込み

③事件の着手

 着手時期については各司法書士や弁護士により異なる場合があります。

 着手時期に関する詳細は法テラスあれこれをご覧ください。

STEP3

① 利用条件等の審査

② 援助決定 

STEP4      

法テラスが弁護士又は司法書士へ報酬等を立替え

(立替金額は事案ごとに決められている所定の金額です。※1

STEP5

立替えから2か月後位より,申込者が立替金を法テラスへ毎月分割して返済していきます(返済金額は月額5000円位から可能です)

※生活保護受給者やそれに準ずる世帯の方は返済義務が免除される場合があります。

※1 具体的な立替え金額は,「費用の扶助制度」欄をご覧ください。

 

Q2:法テラスを利用するための条件を教えてください。

  利用条件の詳細や,収入基準算定のための計算式は,

法テラスの立替制度を利用できる人の条件(収入や資産の基準)」の欄をご覧ください。 

 

【弁護士と司法書士】 

Q3.弁護士と司法書士とはどうちがうのですか。  

 同じ法律職といえますが,弁護士と司法書士では権限上大きな違いがあります。

 弁護士には法律上すべての権限が与えられているのに対して,司法書士(法務大臣の認定を受けた司法書士をいう。)には,訴額が140万円まで(簡易裁判所の管轄)の民事事件(簡裁訴訟代理関係業務)においてのみ権限が与えられています。

 したがって,訴額が140万円を超える民事事件(地方裁判所以上の管轄)や,刑事事件・家事事件等については,司法書士は権限を有しません。ここでいう「権限」とは,おもに依頼者の代理人として法的手続をとりうる立場という意味の権限です。  

 
Q4.本人訴訟・本人申立とはなんですか  

 Q3でご説明したように,認定司法書士には訴額が140万円までの民事事件(簡易裁判所の管轄)においてしか権限がありません。

 では,訴額が140万円を超える民事事件や,刑事事件・家事事件については司法書士は全く関与できないのかというとそうとも言えません。 司法書士には裁判所若しくは検察庁に提出する書類を作成する権限があり,その作成事務について相談に応じることができるからです。

 つまり,訴額が140万円を超える民事事件や,刑事事件,家事事件については司法書士は代理人としての活動はできないのですが,裁判所等へ提出する書類の作成者という立場で関与することが可能となります。

この場合,裁判所等への手続きはあくまでご本人の名で行い,司法書士はご本人様の支援者(書類作成者)として活動することになります。

このようなケースのように,ご本人の立場で訴訟活動をしたり裁判所へ申立等をおこなう場合を「本人訴訟」「本人申立」といいます。

たとえば,

相続放棄の申立て(正式には相続放棄の申述)を家庭裁判所に行う場合,これは裁判所への提出書類ということになりますので,司法書士は,依頼を受けてこの申立書の作成をすることができます。

また,破産手続きは法律上地方裁判所の管轄と定められいます(破産法第5条)。したがって,破産手続きを司法書士に依頼する場合は,申立書等の書類を司法書士に作成してもらい,司法書士支援の本人申立という形式で申立をすることになります。

 
Q5.司法書士に依頼した場合のメリット・デメリットはなんですか。

   民事事件や債務整理を依頼する場合,弁護士へ依頼した方がよいのか,司法書士へ依頼した方がよいのか。

依頼する側にとっては考えてしまう方もいらっしゃるようです。

 それぞれメリット・デメリットはあるかと思いますが,司法書士へ依頼した場合のメリットとしてあげられるものとして,一般に司法書士の方が費用(報酬)が安くなるという側面があるかと思います。

このことは法テラスの報酬基準をみてもわかります。

例えば,250万円の金銭請求を求める訴訟手続きについて、

弁護士さんの代理で行う場合は,法テラスの報酬基準表によれば,業務方法書別表3の代理援助立替基準表の(1)金銭事件 ①…,損害賠償請求,… の欄記載のとおり,着手金165,000円(事案の性質上特に処理が困難なものについては385,000円まで増額される場合あり),実費35,000円,裁判所への出廷1回につき11,000円,その他成功報酬金として回収額の10%(税別)の費用がかかるのに対して,

司法書士に書類を作成してもらい本人訴訟で行う場合は,書類作成援助立替基準表の(1)通常訴訟手続 の欄記載のとおり,報酬27,500円(追加報酬の上限は110,000円),実費15,000円(追加実費の上限は20,000円)となっています。

よって,訴訟をして仮に250万円満額を回収した場合,

弁護士による代理援助を利用した場合は合計で508,000円〜728,000円(出廷3回の場合)の費用がかかるのに対して,

司法書士による書類作成援助を利用して本人訴訟をした場合は合計で42,500円〜180,000円の費用で済むということになります。

つまり,この法テラスの報酬基準表をみても,弁護士に依頼した場合と司法書士に依頼した場合とで,費用面においてこれだけの差があるわけです。

特に,債務整理をする方にとっては,お金を持っていない方が大半だと思いますので,費用(報酬)面は特にご心配の点だと思います。

 また,少額請求事件等,費用対効果の面で弁護士に依頼した場合には費用倒れとなってしまい法的手続きを躊躇せざるを得ないような場合などでも,司法書士ではある程度の目的が達成できる場合があります。

埼玉司法書士会には少額請求事件助成制度もございますので,この制度を利用すれば,費用倒れの問題も解消できる場合もあるでしょう。

 その他,一般論として,司法書士の方が敷居が低く相談しやすいという面があるかもしれません。

 さらに,Q3・Q4でご説明したように,司法書士には権限上制限があり,権限を超えた事案については本人訴訟や本人申立による手続きになるケースがございます。

 その場合,基本的にご本人様自身が手続きに直接的に関与することになるため,当該事案に関する書類作成事務等につき司法書士との打ち合わせ等をする過程で,ご本人様がご自分で解決にあたっていくという充実感を持つことができるという側面があるようです。

小職のかつてのご依頼人からも,本人訴訟や本人申立をしたことにより法律のいろいろなことを学ぶことができて大変勉強になりましたというような声を時折いただきます。司法書士とともに学び解決していくという面はあるかと思います。  

 これに対して司法書士へ依頼した場合に考えられるデメリットとしては,Q3・Q4のとおり,司法書士には権限上制限がありますので,権限を超えた事案(140万円超の民事事件や家事事件等)を処理する場合,司法書士は直接相手方との交渉や訴訟代理行為をすることができません。

このような場合,ご依頼人の方自身が申立や訴訟行為(裁判所へ出向く等)を行うことになり,手続き上ご依頼人の方の負担が大きくなる場合が考えられます。

 お金をたくさん持っている方や,手続上のご負担に憂慮される方は,弁護士へ依頼された方がよいかも知れません。  

 

【相談関係】

Q6.相談はどこにいけばいいのですか。あてがありません。  

 基本的にご相談される場合は,お近くの弁護士や司法書士,法テラス,市役所等の公的機関へ行かれるのがよろしいでしょう。

 また,弁護士や司法書士に相談したいがまったくあてがないという方は,各都道府県には必ず弁護士会司法書士会がございますので,そちらへお問い合わせのうえ,なるべくお近くで,かつご相談される案件に強い先生の紹介を受けるのがよろしいでしょう。  

 なお,各県弁護士会や司法書士会でも法律相談をやっています。


Q7.敷居が高くてなかなか事務所の扉をあけられません。  

 これもよく聞く声です。弁護士や司法書士の事務所の扉をあけるのはとても勇気がいるようです。しかし,弁護士も司法書士も同じ人間ですから,特段構える必要はないかと存じます。たまたま少しだけ法律に詳しいという側面を持っているだけで,その他は普通の人間です。偉くはありません。

 ご相談にこられる方によっては,事務所の前を何度も何度も通り過ぎ,中の様子をうかがい,それを1ヶ月も2ヶ月も続けたあげくにようやく扉を開ける方もいらっしゃいます。そしてご相談後にはホッとされ,もっと早く相談すれば良かったという感想を述べられます。お腹がすいた!と言いだす方もいらっしゃいました。ずっと悩んでおられて食も喉を通らなかった状態から解放されての言葉だと思います。

 ご相談は早いに越したことはありません。遅れると状況が益々悪化する場合がありますので,気軽な気持ちで扉をあけてみましょう。

Q8.相談に行って怒られたりしませんか。   

 多重債務や借金の相談をしに行ったら怒られるのではないか,そう思って二の足を踏む方も少なからずおられるようです。 これまでさんざん家族等に怒られたり非難されたりしたあげく,さらに相談先でも怒られるのはかなわないと思われているのかもしれません。

 相談先で怒られることはまったくありませんのでご安心ください。大切なことはこれからのことです。過去のことをいつまでも悔んだり非難することではありません。大方の弁護士・司法書士はそのことをきちんと理解しているはずですので,あなたの味方になって活動してくれると思います。状況が悪化する前に気軽な気持ちで相談にいってみましょう。

 なお,人間ですからお互い相性というものは確かにあります。どうも相性が悪いようだと感じたら,他の先生をあたるのもよいでしょう。あ   

Q9.相談料がありません。 

 相談料については気にされる方が多いようです。

 ご相談の内容にもよりますが,多重債務(債務整理)関係のご相談については,現在どの弁護士・司法書士も無料で相談に応じてくれる場合が多いです。

 また有料となる場合でも,法律相談については法テラスの援助対象(法律相談援助)となっておりますので,法テラスの資力基準等(Q2をご覧ください。)を満たす方は,ご本人の費用のご負担なしで同一事案につき3回まで無料で相談を受けることができます。

 初めに相談先の弁護士や司法書士に,「法テラスの無料相談援助の利用を希望したい」と伝えてみるのがよろしいでしょう。   

Q10.債務整理を専門家に依頼すると,業者からの請求は止まるのですか。  

 債務整理を専門家(弁護士又は司法書士)に依頼すると,依頼を受けた専門家は各債権者(貸金業者等)へ事件受任通知というものを出します。 この受任通知をうけた貸金業者は,正当な理由がなく債務者等に対して弁済の請求や取り立て行為をしてはいけないことになっています(貸金業法第21条1項9号,同10号)。これに違反した者は,2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処せられます。

 したがって,貸金業者として正規に登録している業者については,基本的に請求は止まります。 ただし,ヤミ金は闇で活動している業者であり,そもそも法律の枠内で動く相手ではないため,請求が継続する場合があります。 

Q11.ヤミ金からお金を借りてしまい厳しい取り立てにあっています。  

 ヤミ金は公序良俗に反する犯罪行為であり,刑事・民事においてその責任を厳しく問われるべき行為です。 したがって,原則として,いかなるお金も返済する必要はありません。ヤミ金から現実に交付を受けたお金分すら返す必要がありません。これまでヤミ金に対して支払ってしまったお金も,法律上すべて返してもらうことができます。これは最高裁判所の確定した判決です(最高裁判所第三小法廷 平成20年6月10日判決)。

 だからといって,そのまま放っておくわけにもいかないのが現状です。というのは,ヤミ金は執拗に請求や取り立てをおこない,ときには犯罪行為を行ってくるからです。

 したがってヤミ金からお金を借りてしまい,執拗な取り立て行為等を現在受けている方は,弁護士や司法書士の他,ヤミ金問題を取り扱っている団体へ相談のうえ,場合によっては警察へ被害届等を提出して,警察を介入させてその解決を図っていくのがよいでしょう。

 くれぐれも,ヤミ金からの取り立てを苦にして自ら命を絶つというようなことは考えないでください。 死ぬ必要はありません! ⇒いま死を考えている方へ

お電話でのお問合せはこちら 
0494-26-5562

司法書士・特定行政書士  五十嵐 正 敏

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