観音さまのお話

秩父といえば何でしょうか。

秩父神社,夜祭り,温泉,そば等いろいろありますが,忘れてはならないのが秩父三十四ヶ所観音霊場ではないでしょうか。

西国三十三ヶ所,坂東三十三ヶ所とともに,日本百観音に数えられている由緒ある観音さまの街ということでしょう。

西国が近畿一円7県,坂東が関東一円7県にまたがった札所なのに対して,秩父は秩父地域において三十四ヶ所の札所すべてが置かれていることからしても,まさに秩父地域が観音さまの霊場というのにふさわしい町といえます。

現在も季節を問わず,全国各地から老若男女,観音さまを拝みにたくさんの人たちが秩父を訪れています。

最近は,秩父が「あの花の名前を僕たちはまだ知らない」というアニメの舞台になっている関係もあって,多くの若者が秩父を訪れ,あの花の舞台になっている17番定林寺も若い人たちで賑わっています。

一見信仰心には無縁と思われる若者が,ご本尊の観音さまに手を合わせている姿はとてもいいものです。

どんなきっかけであれ,虚心になって静かに祈りをささげる姿は,やはり尊いものを感じます。

私も観音さまが大好きで,秩父でこの仕事をしているのも,実は観音さまがきっかけであったという事情によります。

「観音さまの心」にあやかって仕事をしていきたいとの思いからです。

毎日,どこかの札所にお参りして観音さまを感じ、会話をしています。

仕事がら法務局に行くことが多いのですが,法務局のすぐ近くには17番の札所がありますので,法務局に行くときは必ず17番の十一面観音に手を合わせています。裁判所や市役所に行くときは13番の聖観音,その他16番の千手観音や14番の聖観音に立ち寄ることが多いです。

ところで観音さまとは「観世音菩薩」の略で,観世音とは,読んで字のごとく「世の音を観る」ということです。

世とは世人,すなわち私たち衆生のことで,音とはその衆生(世人)の声,つまり私たちの声を観て下さるということです。

 

一般に音は聞く(聴く)ということになりますが,観音さまはさらに一歩進んで音を観ているのです。

音を聞くというのが,単に我々人間が耳という肉体的聴覚によって音をとらえることを言うのに対し,音を観る」とは,心をもってその音(声)の本質を洞察することを言います。

 つまり観世音菩薩とは,私たち人間の悩みや苦しみに,たえず,どこにいても,「心をもって」観てくださる菩薩ということになります。

「観音さま,助けて下さい!」と祈れば,たちまちに助けに来てくれるとてもありがたい仏さまです。

このような観音さまの妙智力がよく「世間の苦を救われる」ので,観音さまの別名を施無畏者」ともいいます(妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五)。

施無畏者とは,無畏を施す者という意味で,一切の畏れを無くしてくれる,つまり,私たちの不安や心配ごと,恐怖心というものを取り除いていくれる者ということです。

坂東札所23番の東京浅草観音(浅草寺)の外陣と内陣の間にも「施無畏」と大書された額がかかげられています。

また,秩父札所4番金昌寺や10番大慈寺の山門、34番水潜寺の本堂入口上部にも,やはり「施無畏」と書かれた額があります(下の写真)。

札所4番金昌寺の施無畏の額

札所10番大慈寺山門の施無畏

札所34番水潜寺の施無畏の額

秩父札所の観音さまは,室町時代から現在に至るまで,地元秩父地域の人々はもちろん,全国の多くの人々から親しまれ,庶民の心の支えとして脈々と生き続けているといえましょう。    

平成二十六年 葉月  

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